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ウェルシュ・コーギー・カーディガンのブリーダーは遺伝病の発症確率を少しでも減らすようにと
遺伝の病気の知識や繁殖学などを人並み以上に学ばなければならない、と考えています。
しかし、そのような考えの基、繁殖を行っているブリーダーは以外と少ないし、そういうブリーダーでも
絶対遺伝病は出さない、と断言できる人はいないでしょう。

私が言いたいのは、純血種は人間の手によって作られた、改良された犬です。
それ故、過去に交雑が多く作られた犬種程、犬種特有の遺伝疾患を受け継いでいる可能性が高いと言えます。

純血種と暮らす、ということは犬種特有の遺伝子疾患があること、をまず知って欲しいと思います。

遺伝病が発症していれば、誰しもその犬を繁殖に使うことはないはずですが、キャリアと呼ばれる変異型
遺伝子は外見上は健常な犬である為、無意識のまま繁殖に使ってしまうことが少なくありません。
そうしたキャリアから遺伝病は広がっているものだと考えています。

ウェルシュ・コーギー・カーディガンに注意すべき遺伝子疾患はPRAと言われていますが、
過去19世紀に盛んに交雑され近年、コーギー・ペンブロークの発症報告が増えているDMVWDの2つも私は注意が必要だと思っています。

PRA(進行性網膜萎縮症)は進行性のもので、一度発症すると止めることができません。
徐々に網膜が委縮し、初期は夜盲症(暗くなると眼が見えない)から始まり、進行が進むと、失明します。
痛みを伴い両眼が侵され、治療方法はありません。

VWD(フォン・ヴィルブランド病)は遺伝性血小板機能減退症と言われることもある、出血性疾患です。
病気の状態は犬種によって病気の程度に差がありますが、出血の末に死亡した、という報告は決して稀ではありません。

DM(変性性脊髄症)は痛みを伴わず、ゆっくりと進行する脊髄の病気です。脊髄自身が変性することで、
中枢神経としての機能を失っていく進行性の脊髄疾患で、病変が延髄まで病変が到達すると呼吸不全で死亡します。
治療方法はありません。


PRA(進行性網膜萎縮症)
VWD(フォン・ヴィルブランド病)
DM(変性性脊髄症)

Normal/Clear:ノーマル/クリア 発症遺伝子は持っていません
Carrier:キャリア        発症しませんが遺伝子を持っています
Affected:アフェクティッド   発症

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ペンブロークとカーディガンは外見上よく酷似していて双者の違いは「尻尾があるか、ないか」
と思われている方がほとんどかも知れません。
実際に、WEBサイトや書籍ではそのように紹介されています。

しかし、
尻尾のあるなしではなく、カーディガンは骨格もがっちりしていて、耳の大きさや形、も違います
もちろん、性格も違います
カーディガンと暮らすと、ペンブロークよりテンションが高く積極的な仔が多いです。
大きく分けると、

・人懐っこく友好的なタイプ
・警戒心があり慣れない人には距離をおくタイプ。
・その両方を合わせもつタイプ。

牧羊犬として暮らしてきているので、攻撃的な面はなく、頑固な面はありますが、忠実で作業能力が高いです。
カーディガンは、飼主以外にツンデレ。という仔が多い気がします。

カーディガンはダックスフンドと同系統、ペンブロークは、ポメラニアンやスピッツ系統から作出された
言われており、全く別の系統の犬種です。両者ともよく吠える傾向をもっています

じゃぁ、なぜこんなに酷似しているの?といえば…
外見上酷似しているのは19世紀中頃以前に、2種がよく交雑されていた為です。

じゃぁ、なぜこんなに交配されたの?といえば…

まず、カーディガンの歴史を。
コーギーは紀元前1200年前イギリスのウェールズ、カーディガンシャー地方にやってきました。
ミッド・カーディガンシャーのブロナント村は、初期のケルト人の特別な要塞であり、用心深く賢いコーギーは、
大昔からケルト人の宝として、何世代も家族の一員として語り継がれ、受け継がれてきました。

用途は多岐に渡りましたが、子守りをしたり獲物を追い回したりするのは、当時とても重要なことでした。
数百年前、英国の全ての土地を国有したのは国王であり、農夫たちは家の周囲数ヘーカーしか囲う事が
許されなくなりました。

コーギーの仕事は、牧牛の番をする変わりに、牧羊犬とは逆の「自分の土地」に入ってくる他の農夫の放牛に
踵に咬みつき遠くへ追い払う仕事となりました。
やがて、国王の土地が分割され、農夫に売り渡され、柵が作れるようになってコーギーの働きも不要となりました。

その為、
大多数の農夫の手元はにコーギーは、手元に置く余裕のない贅沢品と化しました。
農夫たちは血統登録の事を知らなかったが、コーギーは優れた作業犬である必要があったため、
今日でも及びつかないほどの選択繁殖の方針が存在しました。

牧羊犬としての能力を必要とした農夫たちは、牧羊犬との交雑を試み、ブリンドルの牧羊犬との交雑は
思いがけず成功し、その子孫はコーギーの気質を顕著に、ブリンドルの被毛と受け継ぎました。

では、
ペンブロークと交配した理由に入りますね。

貧しい農夫の元で次々に生まれるカーディガンの仔犬は小作農の重荷でしかありませんでした。
仔犬を手元においておけば食べされなければならず費用がかかるからです。

ある、商売気の富んだ若者が、一つのつがいのカーディガンの仔犬をポケットにいれて、
隣の州へ向かい、金を手に入れて故郷に戻った若者をみて、他の若者も真似をした。
この隣の州がペンブロークシャーで、同じ地方で飼育される二つの犬種が、
ある時期に交配されていただろう事は極めて当然です。

ドッグ・ショー愛好家の注目を浴び始めた2種類のコーギーは、当時盛んに交配されました。
両犬種の知識がほとんどなく、同一犬種と扱われた為、当然のように行われていたのです。

1934年に別の犬種であることが英国で確認されましたが、以前に犬種間の交配がかなりな程度行われていた為、犬種の分別は困難な作業となりました。

1934年ペンブロークが250頭の登録に対し、カーディガンは59頭。
当時のカーディガンはタイプに統一性が低く、原産地ウェールズでは絶滅寸前でした。

太古以来、プロナントで活躍してきたオリジナル・タイプのコーギーは、カーディガンに酷似してます。
この古い血統を保存できたのは、ひとえに近代のブリーダーの努力によるものです。(AKC文献より)

カーディガンはコーギーの原種に若干の牧羊犬の血液をいれた、純粋なコーギーにより近い、と言われています。
ペンブロークのように改良が進んでいませんので、元々の牧羊犬としての血を強く受け継いでいます。
その為、ペンブロークより吠えやすい、活発、といった特徴が見られます。

皆さま、お馴染み?のコーギー、実は2種類いて。日本で見かける90%以上は、
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークと呼ばれる尻尾のない桃尻さんです。
近年は断尾していないペンブロークを見かけるようになりましたが。

日本のペンブロークは小泉今日子さんの『午後の紅茶』のCMに登場してから人気が出た、といわれています。
日本での新規登録数は12位の5,612頭(2014年JKC)です。
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対する、ウェルシュ・コーギー・カーディガンは70位の72頭(2014年JKC)です。
2013年:70頭2012年:93頭2011年:79頭2010年:113頭

常に70位前後の登録数ですが、2010年以降は100頭を割り込んでいます。

私が危惧しているのは、少ない頭数でのブリーディングをすることで、血縁ばかりになり、遺伝疾患等が発症する事。

近い血縁でのブリーディングは、両親の血縁が近い為、その両者が共通の劣性遺伝子持つ可能性が
高くなり、障害をもたらしたり、致死性のある遺伝子が顕在化しやすく、内臓疾患や骨格異常をはじめとする
先天異常が発生しやすくなります。


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数が少ないならば、それを回避する為、血縁でないものを…と考えるべきなのですが、
残念ながら、日本のカーディガンにおいて、それはなされておらず、現在日本にいるカーディガンの90%以上が
親戚となっており、危機的状況になっています。

実際に稀に見かけるカーディガンは身体のラインが細く、小さくなり、本来もつカーディガンの身体とは
かけ離れた仔がとても多い…

これ以上、日本にいるカーディガンでブリーディングすれば、大きな健康障害を起こす可能性が高い。

それを回避したい、と慶くん麗ちゃん海外から迎えました

原産国、英国のThe Kennel Club(KC)では、PRA(進行性網膜萎縮)検査とそのクリアが犬種登録に義務づけられました。

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ブルーマールのカーディガン

バリエーションが多く、「マール遺伝子(ぶち柄を作るために マール遺伝子は、部分的に色素生成を抑制)」
でのカラーが認められるカーディガンでは、マール色でのブリーディングについて制限をかけ、
「ブルーマール以外のマール色をもつ犬は登録できない」とし危険なブリーディングが行われないように抑制されています。

毛色と遺伝疾患の関係性に基づき、許容される色が制限されています。

The Kennel Club(KC)American Kennel Club(AKC)で制限がかかっているのに…

全ての色とそのブリーディングが認められる日本では全ての色が認められている為、
健康障害を及ぼす危険のあるブリーディングが行われているのが現実です。

日本のカーディガンを守りたい、スタンダードを守りたい、遺伝疾患に配慮したブリーディングを…

慶くんと麗ちゃんは、カーディガンで懸りやすいPRAを始めとする遺伝子疾患の検査を行いました。
ともに、全てクリアしています。