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私は6年間の静視の間、私自身がブリーディングをするのは無理だと考えてきました。
それは、我が家は集合住宅であり、住宅密集地であり、犬を多く飼育できる環境ではないからです。

昼間は普通にサラリーマンとしてホワイトカラーの仕事をしています。
仕事は犬と暮らす私にとって、とても恵まれた環境にあり、愛犬と一緒に出勤し仕事が終わると
皆でドッグランで遊び共に帰る、という生活をしています。

コーギー・カーディガンという種に魅了され、守りたいと願っても、あるのは知識だけであり、
私には場所も経験もありません。
カーディが快適に暮らす環境を準備できないのですから、気持ちだけでブリーディングに手を出すことできません。

だから、【できる事はない】、と思っていたのです。

私が一部借受するビクトリーロードうえむらさんは、小高い丘の上にあります。
敷地は1,000坪(3,305.785㎡)。

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運動場で遊ぶシェルティとカーディ

そこに自宅と犬舎(25坪(82.64㎡)) 、雨天運動場(20坪(66.11㎡))、運動場(600坪(1,983.47㎡)があります。

約50頭のシェルティが暮らしていますが、4名で日々お世話をしていて、毎日の運動と1~1.5月に1回のシャンプー、
日々のブラッシング等、早朝から夜遅くまで犬の世話に追われています。

犬舎は犬が快適に暮らせるようにもちろん冷暖房完備。

犬が妊娠した時は母屋(自宅)でストレスがかかりにくい環境にし、出産にはモチロン立会い。
異常があればすぐに病院に走ります。

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麗ちゃん

女の仔の出産は年に1回以下。3~4回出産すると、自分たちを食べさせてくれた大切な仔、
として終生そこで大切に飼育されます。
約50頭のシェルティのうち、30頭以上は出産を終えたシニア犬。

上村さんのところで過ごす犬たちは、シニア犬も含め全ての仔が実に管理が行き届き、いつ遊びに行っても、
皆ピカピカ、キラキラなのです。

血統を学び、犬を学び、遺伝に配慮し、スタンダードに沿ったシェルティを
守るブリーダー


犬の管理はとても大変だろうに、それを嬉しそうに、楽しそうに、いつも私に話してくれます。

私がブリーダーとはこうあるべき、と思っている姿がそこにありました。

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慶くん

上村さんだから、協力をお願いしたいと思った、というのが事実です。
だから、知識しかない私に、不足している部分を協力する、そう言ってくれた時は本当に嬉しくて。

ただ…ただ…日本で、スタンダードのコーギー・カーディガンを守りたい。
その気持ちを受け止めて下さった上村さんに感謝しています。

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前記事で基本的な犬の毛色に関わる遺伝子の話と、そのなかでマール因子について
掘り下げて書きました。

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マールカラーはとても魅力的で美しい色だと思います。ランダムな毛色の出方もしかりですが、
周囲の色素も抑制するので、見た目は薄く白くなり、芸術的だとさえ感じます。

マール色は親がマール因子を持たなければ表れない毛色なので、最大の考慮をはらい繁殖すると、
どうしても産まれる数が少なくなります。
本来やるべき交配(ブラック&ホワイトorトライ×マール)だと確率論で50%となります。
カーディの1回の出産が6頭とした時、マールが産まれる可能性は3頭です。

この少なさが「レアカラー」「希少」と称される理由です。

それ故、高額取引されます。
マールを一番沢山作る方法がタブーとれされる交配(マール×マール)で、100%マールの仔が産まれます。
先に話した、健康障害を引き起こす可能性の一番高い交配で、犬種を愛するブリーダーならばやらない方法で、
やってはならない方法です。

が、目的が金銭のみの繁殖屋ならやる。それが現実だと思っています。

遺伝子


カーディガンは原産国(KC)やアメリカ(AKC)では「ブルーマール」以外のマールは認められない、という事を
書きました。

なぜダメなのか?を書いておこうと思います。

カーディガンの毛色には「セーブル」「ブリンドル」という色があります。
セーブルやブリンドルはA因子にK因子の働きにより表れています。セーブルやブリンドルは成長する程、マールの境が
見えにくくなりマール斑が見えなくこともあります。その為、外見上マール因子をもっているかが分からない場合があるのです。

また、ブリンドルはマール因子の影響を受けながら同時に身体に表す珍しい因子を持っているのですが、これも同じように
成長する程見えにくくなります。

セーブル、ブリンドルだと思いマールと交配したら、実はマールで「マール×マール」の交配でした。という事が起きうるからです。

また、犬の鼻の色は原則「黒」のみで、B因子(ブラウン)が認められた犬種のみ茶鼻が認められています。
カーディガンはB因子はもっていませんので、A因子が退色され茶鼻になることがほとんどで、その時点でスタンダードからは欠点となります。

ブリンドルマール、セーブルマールでも、健全性が保たれているMmの場合、家族として飼育するうえでは何の問題もありません
避妊去勢を行い、終生可愛がるのが良いでしょう。

しかし、
犬種を守るブリーダーの観点から見れば、隠れマールを作る可能性をもつようなマールを交配に使うべきではないし、
これから先の未来で、その犬種の健全性に影響を与えることを考えると、そのような犬を使用してブリーディングすることは、
その犬種を知らない、または考えていない、としか言いようがありません。

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犬には様々な毛色やバリエーションがあります。
この全体の表現毛色を決めるのは遺伝子で12種類以上あり、大きく4つに分かれます。(ホワイトは除く)
出方を決めるA因子(レッド>ブラック)、この基本色に影響を与えるB因子(ブラック>ブラウン)
このAまたはB因子がこれが基礎となり、
拡張に影響を与えるE因子(マスクやドミノ)、出方に影響を与えるK因子(ブラック>ブリンドル)
それプラス「白班を作る」「差毛を作る」「斑模様を作る」といった因子。

このように様々な因子が色の生成を抑制することで犬種の毛色や長さ、模様は表れています。

それぞれの因子に優性、劣性で対立形質にありますが、劣性だから「ダメな遺伝子」という意味ではなく、
表現型として表れやすいかどうかを意味するものです。

そのなかで、ウェルシュ・コーギー・カーディガンを含めた幾つかの犬種は、「マール」という
大理石模様のようなぶち柄の毛色が認められています。

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この毛色はM因子(マール因子)により引き起こされ、このM因子は部分的に色素組成を抑制します。
部分的に抑制することで抑制された部分はベースの色より薄くなります。

M因子は通常因子よりも著しく色素を生成阻害(希釈)し、さらに無作為でランダムに色素生成を抑制します。
身体の毛色だけなら問題ないのですが、M因子は犬の10番染色体上に位置するSILV遺伝子の変異により
起きるもので、SILV遺伝子は目や内耳の発達に重要な遺伝子で、ここに影響を及ぼす場合があります


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M因子でマール模様を起こす因子をマール模様を起こさない因子をとします。
遺伝子は両親から1つずつ受け継ぎ2個で1対として形成されていますので、マール模様の仔は、
MM、Mm、のどちらかによって形成されています。

マール模様をもつ仔のうちMM因子で構成された仔をダブルマールと呼び、SILV遺伝子が正常に
働くことができない場合が多く、視覚や聴覚に異常をもつ可能性が極めて高くなります

逆に視覚や聴覚障害のないマール模様をもつ個体はMm因子と分かります。

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ダブルマールの仔

その為、マール模様(M因子をもつ仔)の交配には大きな注意を払う必要があります。
マール(Mm)×マール(Mm)の交配はMMの仔が産まれる(健康障害をもつ仔が産まれる)可能性が強い為、
繁殖ではタブーとされています。

カーディガンのマールは原産国(KC)やアメリカ(AKC)で「ブルーマール」しか認められておらず
その他のマールカラーは血統証は発行されますが、交配につかうことはできません

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レッドマールの仔

それは、
マール因子によって起こる可能性のある健康障害を、できる限り排除し、
健全性を保つための制限
です。

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日本でのコーギー・カーディガンへの繁殖状況とスタンダードからかけ離れていく様を
10年間、静視しながら……特に6年前に優さんを迎えてからは…

危機感と併せて日本から私の愛するカーディガンはいなくなる

そう思っていました。


日本でカーディガンをブリーディングされる方で、「健康面と性格」を第一に思われている方は
存在しましたが、それプラス「スタンダードを大切に」と思われている方は見当たりませんでした。

比例したようにスタンダードから離れていく日本のカーディガンの身体つきや被毛。
血統が近くなり、小さくなっていく身体。

s-Rosie the Dam (keiRei,mom)
慶くんと麗ちゃんのお母さん

コーギー・カーディガンの歴史は古くはっきり分かってはいません。
イングリッシュ・ターン・スピッツ・ドッグ(絶滅種)の血統を引く、と言われており、
スウェーディッシュ・ヴァルフントが深く関わっている、とも言われています。

純血種の犬は人によって其々の目的の為に作出された犬です。

作出の経過では様々な風貌や特性を持つ犬が交雑されます。
ウェルシュ・コーギー・カーディガンもそうして作出された犬です。

s-Jasper the Sire(keiRei,daddy)
慶ちゃんと麗ちゃんのお父さん

その為、純血種が出産すれば、全ての仔犬がスタンダードに沿うわけではありません。
足の長い子が出る事もありますし、被毛の長い仔、極端に短い仔が産まれることもあります。
小さすぎる仔や逆に大きすぎる仔も産まれます。

スタンダードに固執しろ、という話ではありませんが、
スタンダードを考慮しながら繁殖しなければ、この犬はMIX???と疑問が沸くようなカーディガンを繁殖してしまう
という事です。

s-Kei,puppy1
慶くん生後3か月

私は、
その種に魅了され、その種を守るべきして存在しているのがブリーダーだと思っています。

仕方ない。私にできることはないから。

そう思っていました。

その思いで数年間過ごしました。
3年前にビクトリーロードうえむらの上村さんと出会うまでは。。。
私は上村さんに出会った時、私の感じていた6年間の溢れ出る悲しみと熱い思いを語り尽くし…
協力をしてくださる、その言葉を貰う時までは。。。

協力体制ができてから1年間。私は海外のシリアスブリーダーでカーディガンを守っている犬舎を探し求め。
慶くんと麗ちゃんを海外から輸入

s-Rei,puppy2
麗ちゃん生後3か月

日本で麗ちゃんが交配する相手を探しましたが、私の思いに叶う仔はやはりおらず…
改めてそれから1年ラインを辿り…次のシリアスブリーダーと話をして…今春、もう1頭日本にやってきます

この3頭で私のブリーディングは始まります。
罹患しやすい、注意すべき遺伝子疾患がでないよう遺伝子検査をして、健康にも性格も大切にしながら、
スタンダードを目指す。



当犬舎の最初の出産は「今秋」を予定しています。

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またまた遊びに来てくれましたよ~~~♪♪♪

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僕に会いに来てくれたんだね~! By 慶

ペンブロークの梨子ちゃん、カーディガンのルディちゃんデス★

生憎の雨でドッグランでは遊べなかったので、ウッドデッキで遊びました!

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元気してたですか?By 優    も・・・もちろんよ。By ルディ

優さんも12kgで細くて小さいのですが、ルディちゃん更に小さいです。
慶くんは梨子ちゃんを必死で遊びに誘ってます。

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僕と遊ぼうよ~ By 慶  ま・・・まだ心の準備が・・・ By 梨子

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みんな楽しそうです♪ By 優

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ねぇ?みんなでかけっこしない? By 麗   いいですね~♪ By 優
   わ。。。わたしは。。。By 梨子

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そ~~~れ~~~~


いろんなお話ができて楽しかったです!また遊びましょう~


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慶(Kei)
ウェルシュ・コーギー・カーディガン(Welsh corgi cardigan)
2013年7月7日生まれ
オス
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賞歴
2014年11月9日 FCI九州インターナショナルドッグショー BOB、FCIエクレセントキャシブ取得
2015年4月19日 FCI四国インターナショナルドッグショー BOB、FCIエクレセントキャシブ取得
2015年5月10日 FCI近畿インターナショナルドッグショー BOB、FCIエクレセントキャシブ取得

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麗(Rei)
ウェルシュ・コーギー・カーディガン(Welsh corgi cardigan)
2013年7月7日生まれ
メス

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賞歴
2014年9月21日  倉敷オールブリードクラブ展  BOB、G3席取得
2014年10月19日 FCI中国インターナショナルドッグショー BOB、FCIエクレセントキャシブ取得
2014年11月9日  FCI九州インターナショナルドッグショー BOB、FCIエクレセントキャシブ取得
2015年5月10日 FCI近畿インターナショナルドッグショー BOB、FCIエクレセントキャシブ取得

YearBookって知ってますか?いわゆる年鑑。年報です。

犬の世界にもYearBookが存在し、中身は1年間のドッグショーでの成績や写真が掲載されています。
ドッグショーは純粋犬種の見本展示会のようなもので、各犬種に定められた理想像(スタンダード)に
どれほど近いかを審査する品評会で、スタンダードを知る、学ぶ為には重要な情報となります。

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とはいえ、
コーギーカーディガンの原産国は英国ですし、実際に行くのは私は無理。
なので、YearBookはとても有難い存在です。

犬舎名も掲載されているので、どの犬舎がその犬種に力を入れていて、スタンダードを守っているのか
知ることもできます。これは海外から犬を輸入しようと思う時にとても有益な情報となります。
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カーディガンのYearBookもあります。
日本の書店で購入することはできませんが、世の中便利なものでネットツールを使えば海外から手に入れる事が
できるようになりました。
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こちらはUK(The Kennel Club)のCardiganの2014年のYearBook。
25ポンド(1£=183.79円(2015/2/24))なので4,600円弱也。
手元には2011年版もあります。

AKC版もあるのかも知れないけれど、英語がとってもとっても苦手な私には探しきれないデス。

とはいえ、
カーディガンの勉強を始めて、嫌でも英語と睨めっこせざるえなくなりました。
だって、日本にはカーディガンの文献や書籍はないんですもの…
なんとか読めるようにはなりました。話すのは全然無理ですが。。。

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ウェルシュ・コーギー・カーディガンのブリーダーは遺伝病の発症確率を少しでも減らすようにと
遺伝の病気の知識や繁殖学などを人並み以上に学ばなければならない、と考えています。
しかし、そのような考えの基、繁殖を行っているブリーダーは以外と少ないし、そういうブリーダーでも
絶対遺伝病は出さない、と断言できる人はいないでしょう。

私が言いたいのは、純血種は人間の手によって作られた、改良された犬です。
それ故、過去に交雑が多く作られた犬種程、犬種特有の遺伝疾患を受け継いでいる可能性が高いと言えます。

純血種と暮らす、ということは犬種特有の遺伝子疾患があること、をまず知って欲しいと思います。

遺伝病が発症していれば、誰しもその犬を繁殖に使うことはないはずですが、キャリアと呼ばれる変異型
遺伝子は外見上は健常な犬である為、無意識のまま繁殖に使ってしまうことが少なくありません。
そうしたキャリアから遺伝病は広がっているものだと考えています。

ウェルシュ・コーギー・カーディガンに注意すべき遺伝子疾患はPRAと言われていますが、
過去19世紀に盛んに交雑され近年、コーギー・ペンブロークの発症報告が増えているDMVWDの2つも私は注意が必要だと思っています。

PRA(進行性網膜萎縮症)は進行性のもので、一度発症すると止めることができません。
徐々に網膜が委縮し、初期は夜盲症(暗くなると眼が見えない)から始まり、進行が進むと、失明します。
痛みを伴い両眼が侵され、治療方法はありません。

VWD(フォン・ヴィルブランド病)は遺伝性血小板機能減退症と言われることもある、出血性疾患です。
病気の状態は犬種によって病気の程度に差がありますが、出血の末に死亡した、という報告は決して稀ではありません。

DM(変性性脊髄症)は痛みを伴わず、ゆっくりと進行する脊髄の病気です。脊髄自身が変性することで、
中枢神経としての機能を失っていく進行性の脊髄疾患で、病変が延髄まで病変が到達すると呼吸不全で死亡します。
治療方法はありません。


PRA(進行性網膜萎縮症)
VWD(フォン・ヴィルブランド病)
DM(変性性脊髄症)

Normal/Clear:ノーマル/クリア 発症遺伝子は持っていません
Carrier:キャリア        発症しませんが遺伝子を持っています
Affected:アフェクティッド   発症

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ペンブロークとカーディガンは外見上よく酷似していて双者の違いは「尻尾があるか、ないか」
と思われている方がほとんどかも知れません。
実際に、WEBサイトや書籍ではそのように紹介されています。

しかし、
尻尾のあるなしではなく、カーディガンは骨格もがっちりしていて、耳の大きさや形、も違います
もちろん、性格も違います
カーディガンと暮らすと、ペンブロークよりテンションが高く積極的な仔が多いです。
大きく分けると、

・人懐っこく友好的なタイプ
・警戒心があり慣れない人には距離をおくタイプ。
・その両方を合わせもつタイプ。

牧羊犬として暮らしてきているので、攻撃的な面はなく、頑固な面はありますが、忠実で作業能力が高いです。
カーディガンは、飼主以外にツンデレ。という仔が多い気がします。

カーディガンはダックスフンドと同系統、ペンブロークは、ポメラニアンやスピッツ系統から作出された
言われており、全く別の系統の犬種です。両者ともよく吠える傾向をもっています

じゃぁ、なぜこんなに酷似しているの?といえば…
外見上酷似しているのは19世紀中頃以前に、2種がよく交雑されていた為です。

じゃぁ、なぜこんなに交配されたの?といえば…

まず、カーディガンの歴史を。
コーギーは紀元前1200年前イギリスのウェールズ、カーディガンシャー地方にやってきました。
ミッド・カーディガンシャーのブロナント村は、初期のケルト人の特別な要塞であり、用心深く賢いコーギーは、
大昔からケルト人の宝として、何世代も家族の一員として語り継がれ、受け継がれてきました。

用途は多岐に渡りましたが、子守りをしたり獲物を追い回したりするのは、当時とても重要なことでした。
数百年前、英国の全ての土地を国有したのは国王であり、農夫たちは家の周囲数ヘーカーしか囲う事が
許されなくなりました。

コーギーの仕事は、牧牛の番をする変わりに、牧羊犬とは逆の「自分の土地」に入ってくる他の農夫の放牛に
踵に咬みつき遠くへ追い払う仕事となりました。
やがて、国王の土地が分割され、農夫に売り渡され、柵が作れるようになってコーギーの働きも不要となりました。

その為、
大多数の農夫の手元はにコーギーは、手元に置く余裕のない贅沢品と化しました。
農夫たちは血統登録の事を知らなかったが、コーギーは優れた作業犬である必要があったため、
今日でも及びつかないほどの選択繁殖の方針が存在しました。

牧羊犬としての能力を必要とした農夫たちは、牧羊犬との交雑を試み、ブリンドルの牧羊犬との交雑は
思いがけず成功し、その子孫はコーギーの気質を顕著に、ブリンドルの被毛と受け継ぎました。

では、
ペンブロークと交配した理由に入りますね。

貧しい農夫の元で次々に生まれるカーディガンの仔犬は小作農の重荷でしかありませんでした。
仔犬を手元においておけば食べされなければならず費用がかかるからです。

ある、商売気の富んだ若者が、一つのつがいのカーディガンの仔犬をポケットにいれて、
隣の州へ向かい、金を手に入れて故郷に戻った若者をみて、他の若者も真似をした。
この隣の州がペンブロークシャーで、同じ地方で飼育される二つの犬種が、
ある時期に交配されていただろう事は極めて当然です。

ドッグ・ショー愛好家の注目を浴び始めた2種類のコーギーは、当時盛んに交配されました。
両犬種の知識がほとんどなく、同一犬種と扱われた為、当然のように行われていたのです。

1934年に別の犬種であることが英国で確認されましたが、以前に犬種間の交配がかなりな程度行われていた為、犬種の分別は困難な作業となりました。

1934年ペンブロークが250頭の登録に対し、カーディガンは59頭。
当時のカーディガンはタイプに統一性が低く、原産地ウェールズでは絶滅寸前でした。

太古以来、プロナントで活躍してきたオリジナル・タイプのコーギーは、カーディガンに酷似してます。
この古い血統を保存できたのは、ひとえに近代のブリーダーの努力によるものです。(AKC文献より)

カーディガンはコーギーの原種に若干の牧羊犬の血液をいれた、純粋なコーギーにより近い、と言われています。
ペンブロークのように改良が進んでいませんので、元々の牧羊犬としての血を強く受け継いでいます。
その為、ペンブロークより吠えやすい、活発、といった特徴が見られます。